紅葉の時に葉がきれいに色づくための条件は、「太陽が十分にあたること」「適度な湿度」「寒暖差」の3つの条件が絡んでいると聞いたことがあります。
自然界で葉が色づくために、いろいろな事が絡み合っているように、私たち人の体も、五臓六腑がしっかりと連携して働いてくれいます。
私の個人セッションでよくある症状や不調を例に出して、漢方を武器にして人の体を診ていくことを説明します。
今、同じような症状を感じている方の何かヒントになればと思います。
子宮の問題だと思っていた生理の不調
今回、取りあげる症状は、「不正出血」です。
生理だと思っていた出血が7日過ぎても止まらず、少量の出血がだらだらと続いてしまい、心配になり婦人科を受診。
婦人科でいろいろな検査をしたが、子宮筋腫、卵巣嚢腫はなく、特に異常なし。
止血剤を処方されて経過観察するように言われたけど、心配になって個人セッションへ来られました。
最近、感じていた症状
- 生理周期が不規則になってきた
- 朝起きても、何だか疲れがとれない
- 食事をすると、胃もたれする
- 仕事や人間関係の緊張があると、胃がキリキリする
- 眠りが浅くて物音でよく目を覚まし、ぐっすり寝た気がしない
- むくみがひどくなった
このように生理不順や不正出血という症状が出た場合、一般に、西洋医学では、婦人科で子宮や卵巣を検査し、不調や病気のある臓器を特定して治療をしていきます。
しかし、漢方では、違います。
一見、生理の不調と胃の具合は、関係ないように思われますが、実は関係があります。
漢方の武器「整体観」
漢方には、こんな大切な考え方があります。
「からだ全体をみる、病気ではなく、その人、全体を診る」
人の体は全てが繋がって働いているという考えです。
そのため、症状が出ている局部(子宮)だけを診るのではなく、からだ全体の状態を診ていきます。
これが病気(局部)を診るのではなく、その人全体を診ていくということです。
つまり、問題が起こっている局部(子宮や卵巣)だけを診るのではなく、体全体を診て行くと胃腸の働きが弱っている事がわかります。
注目すべきは、五臓の「脾」
漢方で五臓の「脾」は、食べた物を消化吸収して体や内臓を正常に動かすための生命エネルギー「氣」や体を滋養する「血」を作り出します。
生命エネルギーである「氣」や体を滋養する「血」が体内にしっかりあることで、子宮や卵巣に栄養を運べて子宮内膜を一定の厚さまで厚くして妊娠に備えます。
その後、妊娠しなければ、不要になった子宮内膜が外に排泄されるのが生理です。
五臓の「脾」が弱ると、食べ物を「氣」や「血」に変換できずに、体内の「氣」や「血」が不足します。
体内の「氣」や「血」が不足してくると、一定の厚さまで子宮内膜を維持できず、薄い状態で剥がれてダラダラと不正出血を起こします。
また、排卵しなかったり、なかなか子宮内膜が厚くならないと生理不順が起こる。
その他にも、体内を温める力が不足したり、水分代謝が悪くなって余分な水分を体内に溜め込み、体内が冷えて血流が悪くなることで生理不順になることもあります。
五臓の「脾」を弱らせる原因は、外的な環境、その人の生活習慣、思考のクセなど、たくさんの要素があります。
【五臓の「脾」の働きが弱くなる要因】
- 冷たいものや生ものの過食
- 内臓の冷え
- 湿度が高い環境にいる
- 甘いものの摂り過ぎ
- いつも考え事をしている(思考優位)
- ストレスや緊張が過多な生活環境
- 生まれつき胃腸が弱い体質
- 生まれつき感受性が強く、敏感な気質もった人(HSP)
生まれつきの体質や気質で五臓の「脾」が弱い人でも、弱いなりに体がバランスを取って働くので、すぐに不調が出るわけではありません。
しかし、もともとの体質や気質に加え、胃腸の働きを弱らせる外的な環境や生活習慣が重なると不調に繋がることが多いです。
そのため、漢方を武器にして体を診ていく場合、その人の生活習慣や思考クセからも読み解いていくことが大切です。
このように生理不順や不正出血は、一見、子宮の不調のように思われがちですが、実は、注目すべきは胃腸の不調だったということが、よくあります。
もちろん、生理不順や不正出血が婦人科の病気の場合もありますので、一度、婦人科で診察することも必要です。
しかし、婦人科で異常がない場合でも、整体観という漢方の武器を使えば、不調や病気を改善する方法がわかります。
こんな漢方を武器するためのコツやポイントを下記でお伝えしています。