寒くなってくると、手足の先や下半身が冷える女性が増えます。
そんな冷えを感じているあなたは、しっかりと冷え対策はされていますか。
漢方では、冷えは「冷え症」という病気として捉えていて、昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。
ところで、あなたは、「なぜ体を冷やしてはいけないのか」その理由を知っていますか?
漢方では、ちゃんと自然界の法則や原理原則を使ってそのことを説明しています。
きっとあなたは、その重要度を知ったら、冷え対策をしたくなると思います。
自然界のものは、冷えると「凝滞する」
「凝滞(ぎょうたい)」とは、凝集して停滞すること。
つまり、流れが悪くなって、塊が出来てしまうことです。
「凝滞」という文字が難しく感じるかもしれませんが、皆さんの身近なもので考えると、すぐわかります。
それは、「水」
自然界で寒くなってくると、滝が凍って流れなくなったり、外の水道が凍って出なくなってしまいます。
まさに、「水」が凝集して、停滞した形が「氷」です。
私たち人の体は、約60~70%が水分で出来ています。
お肌ピチピチの新生児で、約80%くらいです。
しかも、人の体の中にあるのは、ただのお水だけではなく、脂質などが混ざっています。
想像してみてください。
食べきれなかった豚汁を鍋ごと冷蔵庫に入れて、翌日、食べようと冷蔵庫から取り出した時の状態。
豚汁の液が固まっていますよね!
まさに、脂質がまざった水が冷やされると起こる現象です。
ということは、冷えたら体内の陰液(血や水)が凝滞して、不調の原因になることが想像できると思います。
その事を漢方では、ちゃんと原理原則として説明しています。
それが、外側から入ってくる寒さという原因「寒邪(かんじゃ)」の性質です。
この寒邪の影響には、「不通則痛」、さらには、「不通則塊」というルールがあります。
流れが悪くなると痛みが出て、さらには、塊ができる。
不通則痛の軽い状態を自分の体で体感できます。
それが「正座」です。
正座をすると、膝から先の陰液(血や水)の巡りが悪くなり、しびれて痛みが出ます。
正座は、そんなに長くやるものではないので、この程度の症状ですみます。
しかし、日常の中で食事、運動不足、ストレスなど、常に体が冷える環境にあると、体内の巡りが悪なり、頭痛、肩こり、胃痛、腰痛など、いろいろな痛みや不調として体からお知らせサインが出ます。
そこで、特に女性の場合は、巡りが悪くなって出る痛みや不調の代表格が生理痛や生理不順などの生理トラブルです。
さらに、自分の生活のパターンや思考のクセに気づかないまま、長く続けてしまうと習慣となってしまい、「不通則塊」になるので子宮筋腫や卵巣嚢腫に発展します。
冷えると、生命エネルギーや栄養が作り出せない
「冷えると、なぜいけないか」の2つ目の理由は、五臓の「脾」が働かなくなるからです。
漢方では、五臓の「脾」とは、簡単にいうと、食べた物から体を動かす生命エネルギー「氣」と栄養である「血」を作り出す臓器です。
五臓の「脾」を人に例えると、優雅なお嬢様。
のんびりとリラックスした、ぬくぬくと暖かい環境でないと働いてくれません。
だから、頭ばかり使ってせかせかと緊張したり、冷えて体がキュッとなっていると、途端に五臓の「脾」は、働かなくなります!
皆さんも、こんな事を一度は、経験したことがあると思います。
- 寒いところにずっといて、急にお腹が痛くなって下痢した
- 冷たい飲食物を一気にたくさん食べて下痢してしまった
- 緊張した状態が続いて下痢した
これらは全て五臓の「脾」が嫌いな環境(冷え、多湿、緊張)で、正常に働かなかった結果です。
私たちが生きていく上で、食べたものを消化吸収して「氣」や「血」を作り出す五臓の「脾」の働きは、とても重要です。
特に「氣」は、いろんなことを担っています。
例えば、外気温に合わせて体温を上げ下げして一定に保つ作用であるホメオスタシス(恒常性)も「氣」が担っています。
また、ウィルスや細菌などが外から侵入する邪気を防ぐ免疫力や体内の異常な細胞を修復する自然治癒力も「氣」の働きです。
そのため、直接、下痢や便秘、胃痛、胃もたれなどの胃腸の不調が出ていなくても、五臓の「脾」の働きの低下は、いろいろな不調の原因になります。
よく出てきやすい不調
- アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの皮膚トラブル
- 繰り返す風邪や膀胱炎
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- 生理不順、生理トラブル
- 子宮筋腫などの婦人科疾患
- 不妊症
- 更年期の不調
- 不安感、不眠などの心の病 など
これ以外にも冷えに弱い五臓の脾が関連した不調や病気はたくさんあります。
これが、「冷えは万病のもと」と言われる所以(ゆえん)です。
だから、体内を冷やさないようにして、五臓の「脾」が働きやすい環境を作ることが大切です。
ただし、人それぞれ体質が違うため、なぜ冷えるのかの原因が違います。
そのため、温めるだけが冷え対策ではありません。
漢方を武器にして体を診ていくと、冷えている原因がわかり、自分に合った冷え対策ができます。
ご自分の体質が知りたい方は、下記の個人セッションをご活用ください。
また、漢方は、漢方薬だけじゃないからこそ、あなたが武器にすれば、もっと日常に役立って漢方が身近になります。
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